信州大学農学部
応用真菌・きのこ学研究室
研究内容
きのこと植物の共生現象:
菌根性きのこ類の基礎科学と人工栽培
山田研究室では、マツタケをはじめとする菌根性きのこ類の生態解明と、その応用である栽培化に関する研究に取り組んでいます。菌根性きのこ類は培養が難しく、殆どの種では未だ人工栽培化に成功していません。また、生態が不明であったり、未発見の種も多いと考えられています。山田研究室では、広く国内・海外を対象に山野を駆け回り、野生きのこ類を収集しています。そして、分類や生態解明といった基礎的研究をベースに有望なきのこ類を見出し、植物との共培養を通じて子実体を形成させる人工栽培化技術を開発することを目指しています。
マツタケやトリュフを自在に操り、それらの商業的な人工栽培が可能になると、人々のきのこに対する認識や食文化は大きく変革するはずです。研究室では、これを単なる純粋培養系で達成させるのではなく、自然界の摂理に沿った樹木との共生体として利用していく道筋をつけたいと考え、調査・実験を進めています。また、きのこ類は自然界における物質循環で大きな役割を果たすことから、地球環境に関わるCO2問題、環境放射能問題、資源循環型社会の創出などにも関わりを見出す事が出来ます。きのこという小さな研究対象を通じて、現代と未来の社会を開拓していける人材の育成を理想に掲げています。


野外調査で収集したマツタケの子実体
マツタケ培養株とアカマツ実生との共培養
マツタケ菌根の研究
日本では古来よりマツタケの生産を目的とした山林整備が行われてきましたが、マツタケが科学研究の対象となってからほぼ100年、菌根の最初の形態記載からおよそ75年が経とうとしています。これまで多くの野外調査・試験が行われてきましたが、マツタケ子実体の人工栽培にはまだ誰も成功していません。
近年の研究により、マツタケの菌根(シロ)を室内実験下で人工的に作出することが可能となりましたが、子実体形成には至っていません。また、人工的なシロを野外の自然条件下で維持・拡大させる方法も確立されていません。

